第八話【世界の中心でアイを叫んだケモノ】
第八話 ANOTHER STORY OF TM
世界の中心で EP 8
アイを叫んだ Love is
destructive
けもの
やはりあの事件が原因だろうか。まさかあんなことされるとは想像もつかなかった。
私はワケもわからず、泣きながら逃げ出してしまった。
イヤだった。あの場にいることが、あの空気が耐えられなかった。
腹立たしかった。なんであんなことをされなきゃいけないのか理解ができなかった。
あの時は混乱していて、どうすればいいのかもわからず、走った。
気づけば屋上にいた。
どうしようか悩んだ。とりあえず、携帯から学校に電話をかけ、必死で謝り、帰ったことにしてもらった。
屋上でキモチの整理をしていた。
わざとではない。そう考えれば考えるほど、疑いの念は増えていった。今時の高校生のことなど、わからなかった。
もともと詩織は積極的なほうではなく、友達は少なかった。
俗に言う「大人しい子」だったので、クラスで流行ったりしていることなどは知らなかったし、興味もなかった。
だから今の高校生のこともよくわからない。
30分ほど考えただろうか。その時だった。
ガチャッ
屋上に出る扉が開いた。今は授業中のはずだが・・・・ダレだろう。
TMだった。今回の事件の容疑者とも言える生徒だった。だが・・・
息を切らしていた、キョロキョロ何かを探しているように思えた。
ポツリと聞こえた。「いるわけないか・・・」
あの子は私をさがしていたのだろうか、息を切らすほどに必死に。
いや、まだ決まったわけではない。しかし声をかけてみることにした。
「TM君・・・?」
私に気づいた彼は、謝った。何度も何度も。私に謝った。
彼は私を必死に探していたことを、告げてくれた。一言謝りたくて探し回った、と。
やはりそうだったのか・・・・その時私は思い出した。
ユキの言葉を。
人を疑ってはいけない。それは自分が疑われることと同義だ。ましてや生徒と教師なら尚更だ。
そうだ。私はこの言葉を聞いて教師を目指したのだ。忘れていた自分に腹立たしささえ覚えた。
このままでは私は気づかず、教師として過ごすことになったかもしれない。
教師として、生徒を疑ってはいけない。証拠がでるまで、生徒を助けるのが私の役目だ。
しかし、あの子。あんなに必死に私のことを探してくれたのか・・・・。
気にしなくてもすんだことだろう。次の日くらいに「すんません」くらいですんだこと。
考えれば考えるほど、わからなくなる自分がいた。
でもそんな、よくわからないまま彼と接するわけにはいかない。彼は私に大事なことを思い出させてくれた。
そして、初めて、私の近くにきてくれた生徒なんだから。
あの子が気にしないよう、一生懸命に接してあげよう。
仲のいい「先生と教師」になれるように。
数日後・・・・・
駅に向かう途中で彼を見つけた。いっちょまえにバイクに乗ってる。
「おーい!TM君!!」
TO BE CONTENUED
詩織の好意とTMの好意は違うものなのか。
やはり生徒と教師というATフィールドを取り除くことは難しいのか。
人の希望は悲しみに綴られているね・・・
次回!
ま
ご
こ
ろ
を 最
君 終
に 話